Deloitte Digitalは、グローバル60か国で展開し1万6千人以上がかかわっているデジタルトランスフォーメーションに用いるブランドで、デジタルを駆使した未来の創造に取り組んでいます。

「Deloitte Digital Cross」は、ビジネスの枠を広げて、スポーツ、ファッション、エンターテインメント、教育など、社会に新たなエクスペリエンスを生み出すことを目指す対話をお届けする連載です。

そもそも、Deloitte Digitalとは? そして、提供する価値は何なのか? 今回は、Deloitte Digital Japanをリードする宮下剛氏と熊見成浩氏、そして長年AIとビッグデータの活用に従事してきた森正弥氏が、コンサルタントに転身した元ニュースキャスターの若林理紗を聞き手に語りました。

Podcast「Deloitte Digital」、配信中!

2021年4月2日

「HX=CX+EX+PX」とは?

—「Deloitte Digital」とはどういった組織なのかお聞かせください。

宮下 Deloitte Digitalは、最先端のデジタルを活用したお客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルの知見を用いた生産性向上、効率化のご支援などを行うとともに、デジタルの知見を活かしたSDGsや社会課題の解決にもチャレンジしています。

今後の展開として、さまざまな業界で培ったノウハウや知見を再びビジネスや社会に還元するといった循環モデルを作っていくことも検討しています。

宮下剛 / Go Miyashita

宮下剛 / Go Miyashita
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員。Deloitte Digital Japan Lead. Customer & Marketing組織責任者。CRM組織全般において戦略立案からデジタル変革まで業界横断で手掛ける。近年はCRMおよびデジタルの知見を活用した社会課題解決、NPO支援、スポーツビジネス、元プロスポーツ選手のキャリアチェンジ開発等にも取り組む。早稲田大学大学院非常勤講師。


—その活動の中で最も重視している「価値」とは、どのようなものでしょうか?

宮下 一言でいうと「HX(ヒューマンエクスペリエンス)」、つまり人間的な価値がとても重要だと考えています。「デジタル」という言葉を聞いて、機械的で人間的な価値とは関連性が薄いというイメージを浮かべる人は多いと思います。しかしその実、デジタルで取り扱っているのは「人」そのもの。そのため、「人間的な価値」はとても重要だと考えているのです。

熊見 Deloitte Digitalでは、HXを「お客様の体験向上(CX)+従業員の体験向上(EX)+パートナーの体験向上(PX)」という公式で表しています。お客様の体験向上については、これまでも多くの企業が実践してきました。しかし、それだけでは不十分な時代になっています。つまりは従業員やパートナーが満足していなければ、お客様の体験向上が難しくなっています。

たとえば、企業としてどんなにいい商品やサービスを用意していたとしても、従業員が不機嫌そうにそれを提供していては、お客様は満足しないでしょう。

体験価値を向上させようとすると、お客様、従業員、パートナーそれぞれが体験価値を向上させて行く必要がある。先の公式では、そのことを端的に表しているのです。

熊見 成浩/Narihiro Kumami

熊見 成浩/Narihiro Kumami
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員。18年間コンサルティング業界に身を置き、数百件のコンサルサーヴィスを提供。「マーケティング」領域に専門性をもち、深い顧客インサイトの理解と、プロダクト&サーヴィス、価格+インセンティヴ、コミュニケーション、複合的チャネルなどを統合的に考えることで顧客価値を最大化する。早稲田大学大学院非常勤講師。


森 2020年を振り返ると、HXの重要性に気がつかされた1年だったと思います。新型コロナウイルス感染症が拡大し、通勤・通学できなくなり、会社内でのコミュニケーションすら難しい状況となりました。そのような状況の中、エッセンシャルワーカーの方々が社会インフラを支えていることが明確になりました。この経験から、多くの人が従業員やパートナーに加え、地域社会のコミュニティも重要だと気がついたのです。

宮下 新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界共通の課題です。感染症の拡大を防止するために人の行き来を制限することによって、物理的な分断が進みました。その一方で「繋がり」を持ちたいという気持ちは高まりました。この気持ちが、社会課題を解決するエネルギーになっていくのではないかという期待があります。

熊見 Deloitte Digitalのチームを見ても、グローバルで横の繋がりが強くなった実感があります。これまで海外メンバーとの打合せなどは必要な時に実施するレベルでしたが、今では毎週何回も当たり前のように打合せをしています。これによって、お互いの価値観をすり合わせ、スピーディーに新しいサービスを展開できる可能性も出てきました。

その結果、たとえばライフサイエンス系のプロジェクトのデリバリースピードを向上し、結果救える命が増える可能性も高くなる。企業が提供する価値によって世界的な分断構造を是正することで、社会課題に貢献できる。具体的には、ギグワークのプラットフォームを提供することで様々な人々に新しい職の機会を提供するなど、そんな可能性があると感じています。

人間にしかできないことが価値を生む

—その他のDeloitte Digitalの活動について教えてください

宮下 1例を挙げれば、スポーツの観戦体験への取り組みがあります。日本の「スポーツ観戦」では、勝ち負けに関心が集まる傾向があります。しかし海外では、観戦前から観戦後までの全体の流れを楽しむ「エンターテインメント性」に関心が集まっています。

Deloitte Digitalでは、このようなスポーツ観戦を軸にした様々な体験を分析し、顧客の期待や満足度のギャップなどの分析をしています。この分析を通じて、顧客にどのような体験をしてもらうことができるのか、それにはどういったサービスが必要なのかという戦略を立てられるようになります。

森 AIの世界では、表情や音声から感情を読み取る研究が進んでいます。また、歓声の大きさなどから、どれだけ盛り上がっているかというデータも収集できるようになっています。デジタルを使うことで、これまでとは異なる見方で観戦体験を分析できるようになっています。

森正弥/Masaya Mori

森正弥/Masaya Mori
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員。外資系コンサルティングファーム、グローバルインターネット企業を経て現職。ECや金融における先端技術を活用した新規事業創出、大規模組織マネジメントに従事。DX立案・遂行、ビッグデータ、AI、IoT、5Gのビジネス活用に強みをもつ。2019年に翻訳AIの開発で日経ディープラーニングビジネス活用アワード 優秀賞を受賞。企業情報化協会 AI&ロボティクス研究会委員長。


熊見 実際、すでにメディア企業では、AIを使って「面白い、面白くない」などをリアルタイムで可視化するようなことを行っています。情報を可視化することで、「こうするとユーザーから喜んでもらえるんじゃないか」といった勝ちパターンが見えるようになりました。

しかしAIは万能ではありません。AIはすでに存在している情報の中から組み立てていきますが、情報のないところから新しく面白いものを作ることはできません。そこは人間が活躍する場になっていくでしょう。Deloitte Digitalは、「テクノロジーで実装できること」と「人間しかできないこと」を融合していくことで新しい価値を生んでいます。

—Deloitte Digitalはキャリアチェンジにも取り組んでいます。こちらについても詳しくお話を伺えますか?

宮下 アメリカでは、デジタル人材不足や退役軍人の就職といった社会課題があり、退役軍人の方々のデジタルスキルを高め、次のキャリアへとつなげていく取り組みがあります。Deloitte Digitalは、このような取り組みを日本でも実施しています。元ニュースキャスターの若林さんや元プロ野球選手の久古健太郎さんにも参加頂くことで、デジタルがキャリアの可能性を広げることを自ら実践できればと考えています。

若林理紗/Risa Wakabayashi

若林理紗/Risa Wakabayashi
デロイト トーマツ コンサルティング スペシャリスト。公共放送や民間放送の報道番組のキャスターとして国際情勢や教育問題、サステナブルビジネスなどを取材。2020年夏より現職。事業構想策定等のコンサルティングプロジェクトに従事するほか、SDGs教材やデジタル人材育成教材の開発・普及など産学連携プロジェクトを推進。


森 私もグローバルインターネット企業からDeloitte Digitalにキャリアチェンジしました。「今までの経験を活かしながらどうやって価値を向上していくのか」ということが大きなテーマです。その帰着点は、一人ひとりの生き方やキャリアをどう作っていくかに止まらず、人間的な価値の向上やHXにも繋がっていくと考えています。

熊見 HXを理解していくためには、人それぞれに異なる価値観があることを理解する必要があります。自分の狭い価値観だけでは限界があります。さまざまな人たちと一緒に取り組むことで新しいシナジーが生まれ、新しい価値観も理解できるようになる。そういう意味では、キャリアチェンジの取り組みもHXに繋がっていますね。

—HXの向上によるゴールはどこにあるのでしょうか?

熊見 「幸せの最大化」というのが究極のゴールだと思います。

インターネットやeコマースなど、企業の努力で生み出されたデジタルアウトプットがたくさんあり、新しい価値や今までできなかった価値がどんどん生まれています。そこにHXの要素が加われば、今までなかった生き方や生活が実現できるようになり、新しい幸せの形を創ることに寄与していけると考えています。

そして、願わくはこういった価値が日本からもっと生まれてもいいはず。テクノロジーで後塵をとっているからこそ、HXの要素は日本の武器になる。そして、日本で生まれた価値を、デジタルを通して世界に届けたい。そうすることで幸せになる人がもっと増えると思っています。振り返ると、2020年は世界がコネクテッドした1年だったと思います。もっと世界にいろいろなものをすぐに届けられるようになっています。2021年は、日本発の世界が嫉妬する企業を生み出したいですね。

—いろいろお話を伺い、Deloitte Digitalをより理解できたと思います。HXという言葉の意味についてもより深掘りでき、Deloitte Digitalが提供する価値観が広がることはとても意味があると感じました。ありがとうございました。

プロフェッショナル

宮下 剛/Go Miyashita

宮下 剛/Go Miyashita

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員/Deloitte Digital Japan Lead/Customer & Marketing組織責任者

CRM組織全般において戦略立案からデジタル変革まで業界横断で手掛ける。近年はCRMおよびデジタルの知見を活用した社会課題解決、NPO支援、スポーツビジネス、元プロスポーツ選手のキャリアチェンジ開発等にも取り組む。早稲田大学大学院非常勤講師。 ...さらに見る

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